土用干しをご存知でしょうか?

2025.07.01

こんにちは。

料亭旅館三田清プランナーの細野です。

今年も1年で一番暑い季節がやってきました。

熱中症対策については以前のブログでも書きましたので、
もしよろしかったらご覧くださいませ。

https://www.mitase.com/?p=494

 

最近はさらに気温も上昇傾向ですが、日本は昔から高温多湿の国。

暑いだけでなく湿気が重たく感じられる時期でもあります。

そんな季節に受け継がれてきた日本の暮らしの知恵が『土用干し』です。

 

うなぎを食べる「土用の丑の日」は知っていても、
『土用干し』はご存知ない方もおおいかもしれませんね。

 

土用干しとは、夏の土用の時期(7月中旬から8月初旬頃)に
衣類や布団、書籍や梅干しなどを天日に干す風習。

梅雨でこもった湿気を払い、物を清めて長持ちさせるための風習です。
物を大切に使う日本人らしい風習ですよね。

 

たとえば、布団は梅雨を越えると
湿気をたっぷり含んで重たく感じることも。

そんなときに、晴天が続く土用の時期に天日で干すことで、
カビやダニの発生を抑え、ふっくらとした感触がよみがえります。

特に午前中から干し始め、午後の強い日差しで
しっかりと乾燥させるのが理想的です。

 

また、本棚にしまいっぱなしの本やアルバムも、
湿気を吸い込みやすいもののひとつ。

直射日光が当たらない日陰や風通しの良い場所に並べておくだけでも、
紙の傷みやカビの予防になります。

歴史的価値のある書物などを所蔵しているお寺や神社でも
『虫干し』として行われてきた大切な行事ですね。

 

さらに、日本の夏の風物詩である「梅干し作り」も
この土用干しが重要な工程。

6月に仕込んだ梅を、土用の時期に三日三晩天日で干し、
保存性を高めます。

これによって梅干しはより深い味わいになり、殺菌効果も向上。
保存食としての力をしっかりと備えます。

 

「干す」というシンプルな行為には、湿気を取り除くだけでなく、
「浄化」という意味合いも含まれています。

日差しを浴びることで、物も空間も、そして心も
すっきりと晴れやかになるような感覚は
昔から変わらないのではないでしょうか。

 

エアコンや除湿機で猛暑から健康を守ることももちろん大事ですが、
自然の力を使った風習でエコな暮らしについて
考えてみるのにもいい機会かと思います。

忙しい日々の中で、あえて物と向き合い、
手をかける時間をつくること。

それが、『土用干し』の大切な意味のひとつかもしれません。

 

今年の夏はなにかひとつだけでも『土用干し』に
チャレンジしてみませんか?

布団でも本でも、昔ながらの風習を通して
暮らしの中で“スッキリ”を感じるのも良い体験だと思いますよ。

 

当館も二百余年の歴史があります。

時代に合わせて変わっていったものもありますが、
特にお料理の品質はもちろん、お食事の時間を
心地よく過ごしていただくことに関しては、
その思いを創業時からずっと変わらず大事に受け継いできております。

ぜひとも一度ご体験いただけましたら幸いです。
従業員一同お客様のご来館を心よりお待ちしております。